約 756,589 件
https://w.atwiki.jp/reeeeeeelay/pages/50.html
前:二部/024 次:二部/026 070 カナエによく似た少女が暗い部屋で横になっていた。部屋は病室によく似ていたが、この部屋には窓が1つもなく、明かりも彼女の状態を示すモニターの光のみである。モニターに映し出されたデータは一定のリズムを刻み続けていた。 横になっていた少女が起き出す。彼女は本能的に自身の観察者であったジョーカーが死んだことを悟った。何か証拠があった訳ではない。ただ自身の勘は間違ってはいないだろうという確信があった。 ─── その勘こそが彼女の能力であった。人の死に、そして自分の死に極端に敏感になる。それだけ、といってしまえばそれまでだが、彼女の勘はこのままでは自身も 近いうちに"処分"されてしまうだろうといった。しかしただ逃げ出しただけでは先延ばしに過ぎない。根本的なところから改善が必要なのだ。故に彼女は生存をかけて戦いに望む。つまり、自身を殺せるもの───ネオや反逆者を皆殺しにするのだ。誰から見ても絶望的な戦い。それを前にして彼女は笑う。カナエと全く同じのはずであった彼女は、最早全く別の怪物になろうとしていた。 071 「そんな、反逆者になんてわざわざ会いに行くものじゃありませんよ。」 ジェラートの顔には少し作り笑いが見えたが構わず続ける。 「いいじゃないか、私だって気になるんだ」 「……ですが。」 ジェラートは煮えきらない態度をとったが、無視した。 「じゃぁ、行くぞ。ジェラートも来るか?」 「ご一緒させていただきます。」 明らかにテンションが低い 何か良くないことを隠していそうな予感がした。 072 とりあえず私は身体中につけられた計測具を取り外し、武器になりそうなものを探した。 少し部屋の中を探すと、匿ったところに扉があったので開けてみる。 そこは貧相だが手術室、いや検死所か があった。 ひとまずそこらにある手術具、メス、剪刀、鉗子、など適当にとってひとまず護身用とした。 しかし先程からというものの人影の1つもない。自分の勘はジョーカーのほかに多少人が死んでいるとはいっているが、施設のわりに少なすぎる。 おかしいことは明らかだった。 とりあえず研究所で物資を集めてから、外に出よう。 073 ジョーカーは世界を掌握していた。いや、正確には一人の反逆者に殺められるまでは、確かにそうであった。しかし今、世界はまた別の者に主導権を握られる事になる。 ━もう1枚の『JOKER』によって━ 074 「カズマ、起きて~!朝だよ。」 いきなり響いた子供特有の高い声が眠気を飛ばす。 「…おう」 今日は、カナエを探しに行くらしい。思い起こせばカナエとはいつ以来あっていないのだろうか。カナエを思い出すときは同時に怪物の記憶がついてくる。敗北の感覚も…。 「カズマ?」 アトルが不安そうに俺を見上げる。そんなに思いつめた顔をしていたのだろうか。 「大丈夫だ。今の俺なら」 「うん!カズマは強いよ~」 笑顔で答えてくれる。 「おう。」 「じゃあ行こうか」 いつの間にかハヤトがいた。 「おう!」 「まずはどこからまわろうかなぁ?」 アトルが楽しそうに言った。 「まずは双月の牢にいこうと思う」 075 ……双月の牢、カズマをある程度強くしたらそこでジョーカーと落ちあう事になっている。 ジョーカーが何を考えているのかはわからないが、おそらくカズマは……殺られるだろう。 だが知ったことではない、カナエが助かるならば、どんな犠牲でも払うと決めたのだ。 「━━そういえば、どうして双月の牢なの?」 荒野を歩く三人の乾いた靴音に、突然と上調子な声が混じりこむ。 アトルだ。 双月の牢までのしばらくの間の、 黙々とした雰囲気に華を咲かそうとしているのだろう。 「う~ん、そうだね、カナエを探すにしても、何の情報もないからね。カナエと別れた双月の牢に、何か手掛かりがあればいいと思ったんだけど……」 前もって考えておいた適当な答えが口から出てくる。 もちろん嘘だ。だが俺の声に、態度に、表情にそれという気配もなかった。それに対する罪悪感も……だ。これから起こることが、彼らを危険に晒すことなどわかっているはずなのに。 「カナエさん、見つかるかなー?」 「……きっと見つかるよ。いや、見つけてみせる、かな?」 冗談目かして、そう言ってみる。 「うわー、カッコイイーぃ。僕がカナエさんだったら惚れちゃうよ~」 「あはは、そうかな。さすがに本人の前じゃこんなの恥ずかしくて言えないけどね」 片手で頭を掻きながら照れ笑いのような表情でそう答える。場の雰囲気も和みかけてきたようだ。 これから起こる事も知らずに。 076 ジョーカーは現れなかった。 連絡も取れない。 以前一度だけ行ったことがある、ジョーカーの拠点へ行ってみるか。 「何も見つからないな。そっちも何もないようなら、別の所へ行こうか。」 「別の所って、どこか他に心当たりがあるのか?」 「ああ、ちょっとね。」 自分に疑いを持たぬ仲間に少しの罪悪感を憶えた。 前:二部/024 次:二部/026
https://w.atwiki.jp/inoboku/pages/47.html
概要 第二次世界大戦以降に発足された術者の行政機関。総統は春咲美麗 主に術者や亜人に向けての法規制を行っている。いわば術者側の立法機関である。 対を成す派閥である十二門徒とは組織的には険悪。度々衝突を起こす場合もある。 組織的には友好的かつ余程のことがない限りは見捨てたりはしない。組織的にも所属しているものを家族も同然として、横のつながりがかなり強い。 また政治的・生活的に弱い立場のものには献身的なサポートを行う慈善事業も積極的に行っている。 十三階段の構成員になるには年二回行われる認定試験に合格をしなければならない。 先述の通り十二門徒とは険悪の中で、構成員の中では十二門徒と目が合ったら喧嘩が起きるという事も度々起きる。そして幹部クラスである【階位】の中でも深い怨恨を残しているところもある。 また思想も根本的に異なっており、十二門徒が性悪説思想に近く、十三階段が性善説思想に近いものを抱いている。 そのため一般的には十三階段をソラティオ派(ソラティオ思想)、十二門徒をオンブラ派(オンブラ思想)と呼称される。この名称を呼び捨てで言うと蔑称になる。 だが誤解しないでほしいのが、十三階段の皆が皆十二門徒を嫌っているわけではない。 中には十二門徒と友好的な関係を保っていたりする(戦刃一家、竜道家、雛野家、氷室家) そもそも組織内でのいざこざに関わると面倒になるのもあり、一般的には不干渉を貫いている。 本拠点は渋谷区。そこにあるビルディング街は魔獣などの発生率や、悪性が浄化される。そのため渋谷区に住居を構えたがる人が多い。そのため渋谷区の地価は高い。 十二門徒の皇帝とは切っても切り離せない因縁がある。 序列としては 総統 ↓ 主席階位 ↓ 階位候補生(ナンバーズ) ↓ (番外階位) ↓ 十三階段直轄クラン (準幹部・構成員) 主席階位はここ数年では大きな変化はないが、階位候補生であるナンバーズの数の入れ替えはやや激しい。 大小問わず失態には非常に寛容でそれで解雇をされることはまず無い。損得勘定ではなく、適正によって物事を判別している。 + しかし... 十三階段の派閥内にはその思想に染まってしまった者も一定数存在している。 彼らは十二門徒と悪とし、徹底的に排除する傾向がある。それに加え、身内の仲を執着するため部外者を徹底的に攻撃する者もいる。 また直轄クランにも様々な問題を抱えていたりする。 十三階段の主席階位もこれらの対処に追われていたりもするが……… 直轄クラン 渋谷区自治クラン 極光の円卓 治安維持遊撃隊 暗夜の宴 援助中組織 外界対策機構『ヴィクトリア』 魔獣対策独立行政法人アルティネイター 私立グリニッジ学院 陰陽師連盟 拠点 本部 渋谷区 日本支部 神戸・福岡 人員一覧 + 主席階位 第一段階位春咲家 第二段階位竜道家 第三段階位佐城家 第四段階位闇城家 第五段階位氷室家 第六段階位ジェイシス家 第七段階位雛野家 第八段階位貴宮家 第九段階位戦刃家 第十段階位焔矢家 第十一段階位西之園 第十二段階位キリエライト家 第十三段階位佐野城家 番外階位滝澤家 + 階位候補生(ナンバーズ) 弥勒夏葵(序列一位) 神代レナ(序列二位) 大秦寺こころ(序列三位) 山伏一織(序列四位) 尾上雪花(序列五位) 杜平滉平(序列六位) 御轟京香(序列七位) 千賀飛彩(序列八位) 涼風勝太(序列九位) 星嶺サーシャ(序列十位) 八束薙(序列十一位) 御岳剣馬(序列十二位) 月瀬琴美(序列十三位) 神志名依茉(序列十四位) 稲荷崎嘉久治(序列十五位) 飯島椿生(序列二十位) クレハ・クラークルイス(序列二十九位) + 十三階段直轄クラン(準幹部・構成員) 準幹部 五十嵐慧悟 皆杜静葉 姫宮竜樹 清家奈々華 刀儀詩月 西条暦 イリアス・ヴィットーリア ヨルハ・バーヴァン 凍空・エルズワース・カレン 宇多良八柳 未鷺一芽 未鷺二実 弐葉美紗 式島カノア 宇佐美恋歌 アレイシドゥ ジャック・ドゥ・ブラン 今鳳龍 金城湊 セレーナ・アムールトーデュ
https://w.atwiki.jp/terasemi/pages/43.html
卒制日記 寺山先生へ 「しっくり」きてるかどうかについて 今まで作りながら感じていたのは、これらのどんなものも、どこかシュッとしないということ。それはなぜか。 自分の境界線が拡張することずべてに共通する「核」みたいなものがわかっていなかったからだと思う。 ver2.0ではっきりしたのは、境界線の拡張と行為の責任(思い入れ)の関係があること。これを「核」にして考えると今まで作ってきたものが繋がる。 さて、ここからどう表現しようか。 ver2.0は結構いい感じにしっくり来ていると思うけど、なにか物足りない。行為の責任(思い入れ)の表現って感じで、自我境界の拡張って感じではないかもしれないなと思う。自分の作ったものが誰かの手で変形していく、切ないような変な感じを体感させるver2.0は、感情に訴えかける形で体感させることに大きな特徴があるけど、その分視覚的な境界の拡張感・自分の一部感がしない。それまでのは視覚的に自分の一部感がしていたが、感覚・感情に訴えかける力は無かった。と感じていた。 この「視覚的な自我境界線の拡張」と、「感覚・感情的な自我境界線の拡張」を同時に感じさせられる作品になってくれば「しっくり」くるんじゃないかなぁと思う。…思います。 ふくちゃんへ 以下への感想 僕が聞きたいのは説明ではなくて、それをつくっている本人にしっくりくるかどうかっていうことなのだけれど?「しっくり」というのは微妙な言い方かもしれないけど、説明、理由よりも自分がどうかっていうのが今は重要な時期なのではないですか?別の言い方をすると「人に伝える手応えを君はどこに感じているのか」ということなのだが 「理屈じゃないのよ。涙は」 (井上陽水) terayama 今までつくったものを整理する。 ver1.0_不透明な厚手ビニールの、体感できるくらい巨大な迷路 意図_形がわかりづらいが、確かに人がそこにいると感じられる空間をつくることで、自分と人の境界線を感じさせたかった。 ver1.1_肌質感のつばの巨大な帽子・爪質感の使い辛いスプーン 意図_身体が拡張するように道具を感じさせたいところから、他のものにぶつかって歩きにくい帽子や、慣れないと使えないスプーンなどを考えた。質感を人体の一部にしたのは、見た目にも説明を加えるべきだと判断したから。 ver1.2_マジックテープで体に取り付け可能な立方体(プレ展示に出したやつ) 意図_身体の拡張は無限に広がる。ありとあらゆる拡張の可能性を表現したかった。 ver1.3_視界を限定することにより視力が上がる筒 意図_感覚に訴えかけるような拡張を表現したかった。視覚は(それ以外の感覚も)その視界が狭くなればなるほど繊細になることを利用した。 ver1.4_両端に磁石のついたスティックを持って、両壁に磁石を貼付けまくった細長い通路を通過する体験 意図_磁石の「引き合う」「反発しあう」という感触を肌に感じる事で、壁と自分との磁界という境界を感じさせたかった。 ver1.5_完全に真っ暗な部屋の中で、超微弱なライトを持ち、壁にある何かを触りながら知覚していく部屋 意図_真っ暗な中での微弱なライトは、すべてのものの境界線がなくなって、自分がいること以外がわからなくなった状態に近いと思った。そんな中でライトを持った他の人間を認知する時、その微弱な光が他の人間として認知させる。真っ暗な中で、視覚以外の感覚により何かを知覚することが意識の中で「自分以外の何か」を感じさせることを狙った。 ver1.6_完全に真っ暗で、一度入ったら別の出口を見つけるまで出れない部屋。(壁には出口へ誘導する微妙な凹凸がついているが、なかなか見つからない。) 意図_ver1.5と同じだが、出口の位置を感じさせる「自分以外の何か」を指で感じさせたかった。 ver1.7_完全に真っ暗な部屋で、壁中にスイッチがついていて、触っている間だけスイッチとそれに反応する電球が点灯する 意図_真っ暗な空間で、いきなり電球がつくことによって、そこに誰かが居ると感じさせる。 ver1.8_かなり暗い部屋で、床や壁には砂が撒いてあって、その上に溶けかけた机、いす、服、靴、コンピュータなどがその砂に埋もれている。その中を微弱なライトを持って歩く。 意図_砂は物質を構成する原子がバラバラになって溜まっている状態を示す。それは全てのものの境界線がなくなった状態。机もいすも何もかも分解しだしている空間。その中を微弱なライト(すべてのものの境界線がなくなって、自分がいること以外がわからなくなった状態を感じさせる)を持って歩くという体験をすることで、作品体験後にものの感じ方が変わる事を狙った。 ver1.9_ドライバーや拳銃などのモノを持った腕のシルエットを板でいくつもつくり、それを組み合わせて、腕だけの千手観音のようなものをつくる。 意図_あらゆるものが手と融合し、自分の一部となることを表現する狙い。 ver2.0_箱形の部屋で壁にはびっしりクリップ(取り外せる)があり、部屋の真ん中にはクリップを取り付けられそうな物体がある。 その物体を四方からライブカメラで撮影し、画像をリアルタイムにwebで観る事が出来る。客にはそのクリップを物体にいくらでも取り付けられるように、また楽しめるように誘導し、URLもちゃんとアクセスできるように誘導する。 客は自分で作った(参加した)その作品が、その後どうなったかをwebで観る事できる仕組み。 意図_私たちがよく感じている「自分の作品が自分の子供のように感じられること」は、まさに自分の一部がそこ(作品)にあると感じていることだと思う。この感覚を客に体験してもらうことが狙い。 現在(ver2.0)に至までの、境界線についての考察。 「境界線とは?」→「この世に境界線など無い」→「人間は境界線を無理矢理引いている」→「境界線は拡張するもの」→「境界線の拡張は無限に続く」→「境界線がないと世界は混沌としてしまう」→「境界線の拡張をどこかで断ちながら人は生活している」→「境界線の拡張とは行為の責任をどこまでとるかということ」 06/12/03 02 27
https://w.atwiki.jp/anima_rp/pages/93.html
暗い部屋に一人、PCの画面を見つめる狐顔の男と画面に映る男がいた。 その部屋はまるで学校のようで、PCは教壇の上に、生徒達の座る机を見るように置かれ、その最前列に狐顔の男は座っていた。 「それでは、時間跳躍を始める前に授業を始めようか、稲荷崎」 「先生、それ時間跳躍前にやる話なん?もう過去の話は大体調べ終わってるし、どう動くかも粗方決めとるんやけど…」 「必要はある、聞いておきたまえ──」 「時間というのは三つの言葉で表される、一つは過去、二つ目に現代、最後に未来だ、この内の過去と現代については説明する必要も無いだろう…今回の話で重要なのは未来だ。 では、未来とは何か?これを知るには未来予知というファンタジーな能力が必要となるが、多くの人間はこの未来予知を可能としている…例えば、コイントスにおいて最初に表を向け、力を一定量調整して弾くことで特定の回数回転させ狙った面を出す……これも未来予知の一つであるが、これは正確には知識と経験と技術で構築された未来予測でしかなく、人間はこの予測する力で時に未来を予知するのだ──」 「だが、この予知はあくまで予測であり絶対では無い、限りなく予知に近い領域まで辿りついた人間が昔いたが、それも昔の話だとも… ここでいう未来予知は、漫画などにある決して変えることの出来ない絶対の未来予知を指すものとしよう、そしてこれが存在するのであれば、既に未来は決まっていて、変えることが出来ない運命ということになる…となると、だ。 時間というのは生まれてから死ぬまでの行動が全て記された一つの動画データということになる、そしてこれは人だけでなく世界にも同じことが言える──」 「……なら、ウチが過去に行く意味無くないか?未来は既に決まっていて、それなのに過去に行っても何も変わらんのやろ? 未来の自分が過去の自分に話しかけようとしても、話しかけてる未来の自分にその記憶が無いってことは、それは失敗するって決まっとるようなもんやろ?」 「流石だな稲荷崎、その通り、既に完成している動画データを後から改竄することは出来ない、これを俺は"歴史の修正力"と呼んでいる、異世界からの侵入者を排除し、イレギュラーの辻褄を合わせて本来の歴史を維持する為の防衛機能が存在する。 つまり我々の世界は既にどうにもならないということだ、何もしなくても未来は決まっている……が、歴史の修正にも限界は存在し、対処が可能だ。 一つ、時間干渉能力、これは言わば"世界に認識されない"能力だ、これを持つ人間は時間を超えても侵入者として認識されない、世界から排除される対象とならない。 二つ、その時間にその人間がいないこと、時間干渉能力はデータは存在するが一覧に乗ってない状態と言っても良い、しかし存在する以上検索は可能だ、それを回避するにはその時代に同一人物が存在してはならない、同じ名前に複数のデータが存在するならば世界は時間干渉能力者を認識できてしまう。 三つ、大量のイレギュラーを発生させる、人に関しては回避可能だ、しかし物はそうはいかない、アニマギアを持ち込む以上それは修正対象となり排除される…だが、異物を排除するには大きな力が必要となる、故に物量で処理落ちを促しその機能を制限させるという対処を取る…先程も言ったが世界はイレギュラーに対し辻褄を合わせようとする、排除出来ないならばそれを使えなくすることで影響を減らすがそれも他のイレギュラーと重ねることで対応出来ないレベルまで持ち込んでやれば良い──」 「……世界がフリーズするんか?そうなったら無法地帯になるってことか…」 「そう上手くはいかないだろう、世界は維持でも辻褄を合わせに来る…問題だ、修正できないレベルで破壊された動画データを元に戻すにはどうする?」 「…………バックアップがあると仮定するならバックアップを読み込む…けど、それが出来るなら最初からやる筈や…同じ理由で削除もしないなら、新しく作るわな…壊れたデータを別にして元データと分けて作る…壊れたデータを平行世界として新しく動画データを作れば解決や」 「正解だ、平行世界として新しくデータを作るならば、そこまでのデータを元にして未来を作成し別の世界として処理させれば良い、後は世界の方が辻褄を合わせてくれるさ」 「なるほど…つまりウチらの最初の行動はそこやな、先ずは世界のシステムを壊して、それから先生の命令を果たせばええわけや」 「その通りだ、では今日の授業を終わろう、では健闘を祈る────」 そうして一人でに切れるPCの画面を眺めながら狐顔の男は呟く、変わらぬ笑顔で── 「馬鹿らし、アンタの目的は何や…世界以外に何が欲しいんよ」
https://w.atwiki.jp/junchankawaii/pages/37.html
1 ホラー 2010/11/20 25res http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1290263042/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/116.html
「王様的フラグ」の続編です。 夜空を照らす金色の月の下で、1組の男女が向かい合って佇んでいた。 彼の目の前にいる少女は可愛かった。 大きな瞳に、締まりっ気のない猫のような口。風に乗って遊ぶサラサラの青い髪。頭の上にちょこんと出ている大きなアホ毛も、彼女のキュートさをさらに引き出している。 そしてもちろん、泣きボクロもチャーミングだ。 「遊戯君……?」 声は、どことなく人のやる気を削ぎ、落ち着かせる効果があるように感じられる。顔に見合った、可愛い声。 「上ってみる?大人への階段……」 彼を見上げる幼げな顔。少し赤みがさしている。 いつもの元気なものとは違うしおらしい表情は、彼女的にいう萌え要素というやつか。 「別にいいよぉ?私は……」 言うと、ゆっくりと眼を閉じる少女。 「いっ……」 彼は言葉が出せなかった。かわりに震える手が、彼女の肩を掴んだ。 細い。女の子の肩とはこんなに細いものなのかと彼は初めて知った。それに制服の上からだというのに、手のひらにはほのかな体温が感じられる。 腕に力をこめ、彼女の体を引き寄せる。 そして彼自分も体を少し曲げて、ゆっくりと彼女と自分の顔を近づけて行き…… 「寝ている時ぐらい静かにできんのかこのウニ野郎!!」 「お、ぉうわ!?」 鼓膜を破らんばかりの大声が木霊し、遊戯は反射的に飛び起きた。 驚いた表情であたりを見回す。暗い部屋。月なんてどこにもない。 横を向いて見ると、ハートマンの怒り顔が。反対方向を見ると、阿部や古泉、リョウなど男性陣が布団に身を包んで眠っている。 (夢か……) 遊戯は大きなため息をついた。 ここは月夜に照らされたロマンティックな場所なんかじゃない。ここはタイガーモス号船内のとある1室。男性陣のための5人部屋だ。 自覚することで、圧倒的なリアルが夢を覆い潰していく。 背筋を伝う冷や汗が気持ち悪い。まるで悪夢を見た直後のようだった。いや、遊戯が見た夢は、彼にとっては一種の悪夢と言えるもjのだった。 「……ふぅ…」 いい年こいてまだママが恋しいか、と、普段よりいくぶん音量を落としたハートマンの説教を聴いてから、遊戯は部屋から出た。 背筋を伝っていた汗が、強風によってあっという間に引いていく。 目の前には、夜闇。 暗い。天上で気ままに輝く月でさえ、視界の果てまで照らし出すことが出来ないでいる。 ただただ広がる金と白と黒。 遊戯の心は、これらの何色でもなかった。 暗いのか、明るいのか。手のひらに未だに残る夢の名残は、何も答えてはくれない。 心は無色だ。問答を繰り返すだけで色気づく様子が一つもない。 彼女と出会ったのはつい2,3日前のことだ。 なんてことはないはずだ。魔王を倒すため、相棒を取り戻すための旅の途中の、ほんの一時の仲間。ただの仲間だ。旅が終われば、お別れだ。 そう、旅が終われば、もう会えなくなる。もう話せなくなる。遊べなくなる。触れることも、一緒にいることも…… 確かめるため握り締めた拳から、彼女の温もりがすり抜けていった。 震える手は、彼女ではない自分の肩を抱いていた。 声は出ない。代わりに出たものも、悲しみか嘆きか分からない小さなうめき声。 抱きしめた自分の肩は冷たかった。 彼女は、どう思っているだろうか? こんな所で震えている自分のことなんか、きっと知らないだろう。 その方が良い。知らないほうがいいんだ。今まで通りの仲間でいい。それだけでいい。 それだけでいいはずだ。 ただそれだけで。 ぶるり、と遊戯は肩を大きく震わせた。の独特の肩を出した服装では、この風の中は寒すぎる。 「寒いな……」 遊戯は声を出すことで、先ほど自分の中で目まぐるしく揺れ動く感情を紛らわそうとした。 「……すぐには寝られそうに無いな……」 完全に眼が覚めてしまった。再び寝床に入っても、まず寝られないだろう。 何よりも眼を閉じてしまうと、また悪夢が襲ってくるかもしれない。 遊戯は顎に手を当てしばし思案すると、海馬のことが頭に浮かんだ。 ここ最近、船の操縦は海馬に任せっぱなしだ。特に以前の『アレ』以降は、ブリッジにさえあまり近づいていない。 (手伝ってやらなきゃな……) 2人でさえそれなりに大変な仕事である。最近海馬がやつれているように感じられるのも、1人で頑張ってくれているせいかもしれない、と遊戯は思った。 (その前に、トイレに行っとくか……) 冷える場所に出たせいか、急にもよおして来た。 「さぶっ」と小声でぼやきながら、遊戯は歩き去って行った。 カチ……キィ――…… 「行ったか?」 「行ったようですね」 遊戯が通路の角を曲がり姿を消した数秒後、ドアが開いた。 開いたドアから顔を出したのは、ハートマン、リョウ、阿部、古泉の4人。 「よし……では、打ち合わせ通りだ。すみやかに任務を遂行しろ……」 「じゃぁオレは、あっちのほうを任せろと言わざるを得ない……!」 「よし、遊戯のヤツは俺たちが犯る、おっと……やるとしますか」 「では、2人で行きましょうか、阿部さん。んふふ……」 「そうだな。ふふふ……」 ハートマンが指示をだすと同時に、リョウ、阿部、古泉が動いた。 リョウは船内のとある一室を目指して。阿部と古泉は、遊戯が消えた方向へ。 「おっと、ハートマン」 「なんだ?時間が無いんだぞ!」 通路の角から顔だけ出して、阿部はハートマンに言って投げた。 「思った以上に優しいんだな。ますますいい男じゃないか」 「!!……さっさと言ってこい!この……!」 「ふふふ……」 ハートマンの怒声を背中に浴びながら、阿部はその顔に妖しい笑みを浮かべた…… 続く 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/biouc/pages/26.html
ラクーン市壊滅事件 ラクーン市壊滅事件のボスに関してはこちらを参照。 ラクーン市壊滅事件ラクーン市壊滅事件CP1 ラクーン市壊滅事件CP2 ラクーン市壊滅事件CP3 瀕死CP1 The 4th survivorCP1 ラクーン市壊滅事件CP1 ファイル 1.「ジルの日記」 クロウ前、門を通ってゾンビ3体いるところで飛び降りる水路寄りの右下コーンを破壊。 2.「カルロス・オリヴェイラ」 燃える道路から入った重機のある工事現場。出口のドアの右にある箱。 3.「U.B.C.S.」 分岐合流後、暗い倉庫を抜けてケルベロス×3の後、左にドラム缶がある場所の右側奥の箱。 4.「ラクーンシティ」 分岐で左を選択。道路に昇った後、最初のゾンビの集団との戦闘時、画面右下(自機の一番手前側)にある自動車を破壊 5.「新聞記者の手帳」 左ルート。トラックイベント後、建物内に入って階段で降りてく途中の右に見える縦長の電灯(2つ目)。 6.「コンテナに残された遺言」 左ルート。5.の階段を下り終えた直後の消火器。 救急スプレー 1.の直後、水路の窪みにある。 隠し武器 アサルトショットガン 1.のコーンの反対側(左側)の箱 ネオンがある店の後、ゾンビ群の後ろにある箱(その後の燃えゾンビの右側) 工事現場に入った直後、ゾンビの後ろにある箱 暗い倉庫を抜けた後、ゾンビ群の右にたくさん積まれてる箱 カラスがいる狭い路地を抜け、階段を上がった先。正面の緑の箱 サブマシンガンHP 地下道から梯子で上がった直後、正面のホテルの小さな立て看板(入り口の右側の照明の右下) 工事現場、重機前のカラスの後、橋の向こう左にある箱 3.の場所。ドラム缶の右にある箱 選択武器 ホテルの向かい側の店。左のネオンのガラス(武器は見えてる) 分岐 ファイル集めなら左ルート一択。 右ルートの方が短いのでSランク狙いならこちらの方が有利かも。 右ルートで最初に出てくるハンターは、出現後しばらく無敵なのでムダ弾を撃たないよう注意。 ハードSランクのために クリティカルは71以上でSランクのため、諦めた方がよい。 56でもAランクだったので、クリティカルはこれくらいで妥協し、 後は爆発物を利用してガンガン進んで他をS狙いにすれば良い。 ラクーン市壊滅事件CP2 ファイル 1.「グレイブディガー」 トイレ上の照明破壊。 2.「リッカー」 トイレ内、女性の死んでる個室の右の個室のドア破壊。 3.「イビー」 ゴキブリが現れた廊下で上のライトを破壊。 4.「ラージローチ」 リッカーが2体出てくる場所で『入る』コマンドで入った暗い部屋。 ゾンビが死体食べてるアングルの中央ちょい左、ベンチ上のカバン?を破壊。 5.「監視員」 ゴキブリの巣窟直前、階段降りて左上隅にある縦に細いライトを破壊。 救急スプレー トイレに入ってすぐの正面奥の照明を破壊。 攻略TIPS 停電になると真っ暗になって本当に何も見えなくなる。 リモコンでポイントしてる辺りはライトで明るくなるが、暗いところは本気で暗い。 ライトが当てられてない部分にゾンビが潜んでることある。 ラクーン市壊滅事件CP3 ファイル 1.「作戦本部からのFAX」 最初の自販機のある通路。自販機の左に観葉植物が2つ置いてあるうちの左側(小さい方。暗くて見えにくい) 2.「ネメシス-T型(追跡者)」 救急スプレーがあるところの壁際下の照明(スプレーとほぼ同じ場所)。 3.「バイオハザード3 ダイジェスト1」 地下に降りる階段の手前のリッカーの出てくるとこのオブジェ、直線の通路を直進しているときの突き当たり。 通路の右側のガラス窓あたり。 4.「バイオハザード3 ダイジェスト2」 霊安室を出て犬×2の後、通路を左に曲がった突き当たり左下の照明(駐車場へのドアの向かい側)。 5.「バリー・バートン」 駐車場の左奥の茶色の車の後ろにあるコーン(車を破壊するとコーンも壊れる)。 6.「作戦報告書(抜粋)」 警察署玄関(外側)扉の左横のライト、庭のようなところを進んでいるときに壊す。 7.「ラクーン市警」 ネメシスがロケラン撃って来る所の警察署ホールの中央デスクにあるPC。 8.「署長宛のメール」 ホール二階から入る待合室、入って正面に見える壁の小さい絵画。 9.「ブライアン・アイアンズ」 ボス直前の非常口のマーク。 救急スプレー 最初のネメシス後、ゾンビが大量にいる部屋を抜けたら死体の後ろにある。 隠し武器 手榴弾 霊安室の左端中段(右端中段にハーブ) サブマシンガンHP 2回目のネメシス後、屋内に戻ってすぐのドアを破壊 霊安室の左から2列目上段 瀕死CP1 ファイル 1.「エイダ・ウォン」 地下道から梯子で上がった直後、正面のホテルの小さな立て看板(入り口の右側の照明の右下)。 ホテルから出てきたときでも取れる。 2.「バイオハザード2 ダイジェスト1」 ホテル内カウンター正面の柱にかけてある絵 3.「バイオハザード2 ダイジェスト2」 ボス前の階段を登りきったところの扉上の非常口電灯。 4.「G」 タイラントR倒した後のハイウェイで最初に見える左側の車の右にある箱を壊す。 (すぐに視点が変わるのでグレネード推奨) 救急スプレー ボス前の階段を昇り終えた出口にある。 隠し武器 ショットガンSA 地上に上がってホテル前で犬と戦う場面、マンホールの横にある箱 グレネードランチャーHP ワイヤーで上った後、ドラム缶の手前に積んである箱 攻略TIPS 開始時は体力が少ないので注意。 一つ目のハーブは下水道を抜けた先にあるので、そこまで頑張れ。 The 4th survivorCP1 ファイル 1.「ハンク」 駐車場出口(留置場側)の扉上のライト、駐車場を出るときに最後振り向くタイミングで。 2.「アンブレラ特殊工作部隊」 チェックポイント寸前のグリーンハーブ(ハードではない)のある下の棚。 3.「署長の手記」 警察署のオフィス出口あたり。 救急スプレー 最初のドアを開ける直前、振り向いたところにある。 隠し武器 ハンドキャノン 正面玄関から見て左手前の扉(玄関からのゾンビ後、移動中正面に見える大きな扉)を破壊(マシンピストルもある) 攻略TIPS 入手できる武器は少ないので注意。サブマシンガン系の弾が大量にある場合はそれを持っていこう。 ゾンビラッシュが多い。クリティカル連発できないとキツイかも。無理ならサブマシンガンを。 正面玄関から見て左手前の扉は破壊して進入可能(武器とゾンビラッシュ)。 ボスは存在しないので武器温存の必要は無し。
https://w.atwiki.jp/nightstalker/pages/377.html
Last update 2008年03月16日 月影に寄せて 著者:国見弥一 その顔は、月影で見るにはあまりに恐ろしかった。 奴は三日月の夜に現れるのだった。冴え冴えと照り映える三日月はまるで喉元の匕首(あいくち)だった。反り返った日本刀の切っ先が眼球を今にも刺し貫きそうだった。 病に臥して身動きのならない彼の心臓を容赦なく抉りそうだった。 今夜は月影が素敵に見えるはずだからと、消灯した際にカーテンを開けてくれた彼女の心配りが仇(あだ)となっていた。 満月でもないのに、青い月光が部屋に満ち溢れていた。 どうして今夜は月影が目に痛いのだろう。 目を閉じればそれで済む。 分かっていても、月影と対峙する自分がいた。 そうだ、去り際に彼女がふと漏らした言葉が耳に付いて離れないのだ。 それは、「幸せってどういうこと」という一言。 ただの呟きだった。別に彼に向って問い掛けたとも思えなかった。 むしろ、彼女が彼女自身に自分の気持ちを訊ねているのだろうと思えた。 「幸せってどういうこと」なんて、そんな何気ない一言に過ぎなかったが、彼には心に突き刺さった刃だった。今の彼が一番、背を向けていたい問いだったのである。 別れの予感。今のままでは埒が明かない。 道は行き詰まっていた。余命幾許もない命。 カーテンを開ける彼女の後姿。月影を浴びる頬や首筋が艶かしかった。彼女を愛することができなくなって何ヶ月も経っている。そしてもう、二度と愛することは叶わない。 外の世界へ飛び出そうとする彼女。 闇の世界へ落ち込む彼。 そう、月光に見た恐ろしい顔とは彼女の顔のことだったのだ。 生気溢れる命。緩やかにうねる髪。細い腰。そして腰から下の白い肉の輝き。 そうした全てをどんなに愛撫したことか。あの、目の前に居る彼女にどんなに愛されたことか。 二匹の獣となって愛を貪った。 その彼女と彼とは違う世界にいる。 別に彼女が彼に別れを告げているわけじゃない。 現にさっきだって熱い口付けを交わしたのだ。彼女の体からの熱気が彼を包んだ。懐かしい体臭をそれこそ貪るように飲み干した。 彼は三日月を眺めた。それとも三日月が彼を冷たく尖ったその切っ先で彼を腑分けしていた。 目を凝らしているうちに彼は、月影に不思議な淡い幻を見た。 が、それはどうみても幻ではなかった。 ふと、彼は地球照という現象のことを思い出した。暇のつれづれに読んだ本に、「月の欠けて暗くなっている部分がうっすらと見える現象で」、「地表で反射した太陽光が月にまで達し、その光がさらに月面で反射され」云々と書いてあったのだった。 「幸せってどういうこと」という問いに今の彼には応えようがなかった。生ける躯(むくろ)なのだ。夢を追うこともできない。自分のほうから別れを告げるのが思いやりなのではないか。 たおやかな肉体の底に息衝く熱い魂。情熱。命。生への渇仰。 月のように優しい彼女だけれど、彼女は太陽なのだ。命が滾っているのだ。そのことは彼が一番、知り尽くしている。幾度、圧倒されたか知れない彼なのである。 女とはこんな生き物なのか。男が獣だなんて、可笑しく思えるほどに命の泉は際限なく情と気を溢れさせ続けた。 オレが病に倒れたのは、もしかしてあいつの本性に恐れをなしたからからではないか。誰にも、それこそ、自分にさえ発したことのない煩悶が寝床の彼の脳裏を駆け巡っていた。 そして今、彼は月でさえもなくなっていた。 そう、三日月の片割れの地球照ほどの命を息を潜めて眺めている。風前の灯の命には太陽は眩しすぎるのだ。三日月でさえ辛い。 ほんの数ヶ月前、入院して間もない頃は、彼は月影を愛でるのが楽しかった。曇っていて月が出そうにない夜以外は、彼女は必ず去り際にカーテンを開けてくれる。 そして、病に倒れた自分は太陽でもなければ、地上の星々の一粒でさえないのかもしれない。 でも、どんな塵や埃であっても、陽光を浴びることはできる。その浴びた光の賜物を跳ね返すことくらいはできる。己の中に光を取り込むことはできないのだとしても。 月の形は変幻する。満ちたり欠けたり、忙しい。時には雲間に隠れて姿が見えないこともあるだろう。でも、それでも、月は命のある限り、日の光を浴び、そして反射し、地上の闇の時を照らそうとしている。 月の影は、闇が深ければ深いほど、輪郭が鮮やかである。懸命に物の、人の、生き物の、建物の形をなぞろうとしている。地上世界の命を愛でている。柔らかな光となって世界を満遍なく満ち溢れようとする。月がなかったら、陽光が闇夜にあって、ただ突き抜けていくはずが、その乾いた一身に光を受け止め跳ね返し、真の闇を許すまじと浮かんでいる。忘れ去られることのほうが実際には遥かに多いのに。 月の光は、優しい。陽光のようにこの世の全ての形を炙り出し、曝け出し、分け隔てするようなことはしない。ある柔らかな曖昧さの中に全てを漂わせ浮かばせる。形を、せいぜい輪郭だけでそれと知らせ、大切なのは、恋い焦がれる魂と憧れてやまない心なのだと教えてくれる。 せめて、月の影ほどに、この世に寄り添いたいと思う。 太陽の光も素晴らしい。けれど、陽光を浴びた月が惜しげもなくこの世に光を満たしていることを思うことも素晴らしい。 窓の外の定かならぬ月影を見ながら、そんなことを思ったのだった。 違う! あの頃は未だそんなことを思えたのだ。 今は月が優しいだなんて、毛頭、思わない。そんな余裕など消え去ってしまった。 それでも、彼女が居なくなった世界など考えられない。 けれど、その日は間近い。太陽の消えた世界が彼には間違いなくやってくる。 彼は、地球照の月を眺めた。 せめて、三日月の輝きと地球照の淡い滲みとの対比に人生の全てを見ようと思った。最早、手の届かぬ彼女の余韻を懸命に深い夜の底に嗅ぎ取ろうとした。 彼女に触れることができなくても、彼女の肉体の残滓を心行くまで堪能したい。暗い部屋に満ちる光のような彼女の世界を、闇の変幻のその微細な相貌に見たい、否、感じたいのだった。 消えゆく命。揺れる蝋燭の焔。握る手から零れる肉の世界。 自分と彼女とは、地球照の月なのだ。 燎原の火のように三日月に煌く彼女に、淡い滲みのような夜の世界の月である自分。 あと何ヶ月もしないうちに、彼は月の裏側の世界へ旅立っていく。 ただ、背中合わせの世界には彼女と分かち難く絡み合った藍色の静かな世界がある。 あそこでなら、心置きなく彼女と一緒にいつまでも暮らしていける…。 そんな時だった。足音が聞こえてきたと思ったら、ふいに扉が開き、真っ暗な部屋がぱっと明るくなった。 見回りに来た看護師さんが部屋を覗いたのだった。 が、廊下から漏れ入る光、そして懐中電灯の照射はあまりにえげつないものだった。 また、開いている…。 そう呟いて、看護師さんはカーテンを閉めて行った。 そして、やっと掴み取った彼女との二人の世界が呆気なく消えた。 前の作品 次の作品 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/diy0/pages/13.html
防音部屋を作りたい!けどプロの任せるとお金が・・・ だったら、DIY(日曜大工) で防音部屋を自作しよう! というわけで、始めての方にもわかりやすく、手順を書いておきます。 ①どこからの遮音したいのか考える。 →組み立てる順番が違います。 ②どういう風に仕上げるか考える。大まかな完成イメージ、絵を書いてみる。 ③部屋の壁のサイズを測り、材料のサイズを測り、しっかりとした、設計を書いてみる。 ④材料を集める。材料のサイズをちゃんと把握する。 ⑤再度組み立て設計を見てみる。 ⑥これからやる事、手順をを紙に書いておく、材料の注意についても書いておく ⑥材料の性質に注意しながら、紙を見て組み立てる。 こういう感じです。 各項目しっかりと勉強しましょう! ①どこからの音を遮音したいのか、させたいのか 考える。 音楽用、楽器用の小さい部屋を作るのか それとも、アパートの隣の部屋がうるさいので、隣から来る音を抑える壁を作りたいのか アパートの隣に迷惑にならないように 自分の部屋の音を抑えるのか 広い部屋を区切って二つにしたいのか 下からくる音、上からくる音 色々あります。あなたの用途はどれでしょう。 組み立てる順番を間違えると、例えば、隣の部屋の音を抑えたいのに 自分の部屋の音を押さえちゃっているなんて、事もありえます。 部屋が発生する所から、 順に吸音材 → 石膏ボード → グラスウール → 板 としましょう ②イメージ図を書いてみる。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1918.html
戻る トップへ 黒の絵具を塗り固めた様な暗さがそこには満ちていた。 一歩踏み入れば自らの指は愚か、一寸先にあるものさえ見る事が出来ない暗さ。押し固めた様な黒が、その部屋には沈澱している。 夜では無い。初夏の日差しが射す快晴の元にも関わらず、そこには光一筋たりとて射す事は無い。人が生活する上で、どんな時も付き纏う暗いもの。それを集め、濃縮したような黒。 只管に、黒い。 只管に、暗い。 空間自体が黒く色づいてしまったかの様な、暗さ。光を遮断した、無明に近いその暗さも、完全な闇では無い。 人が作り出せる闇など、多寡が知れているからだ。 現に、部屋に光源は存在する。教室中に並ぶ、四十数台のPCの中の一つが、ぶぅん、と低く唸りながら光を発しているのだ。 青白く発光する画面には、文字と数字と記号とが無秩序に踊っている。 その光を浴びるのは、二人の少女と二人の神姫。 PCの前に座る少女は田端 神楽。短めで余り手入れの行き届いていない髪が、少し地味な印象を与える文学少女という言葉が似合う少女である。 そして、その神楽の後ろから覆い被さる様に抱き付きPCの画面を覗き込む少女、国崎 茜だ。茶色がかった髪を肩口で揃え、闇に映える赤いネクタイを結んでいる。白衣でも似合いそうな少女である。 その二人ともが、眼鏡をかけている。神楽はフレームの無い楕円の眼鏡を、茜は角ばった黒ぶち眼鏡である。 その二つともがPCの画面を反射して、二人の瞳を外から隠していた。 「……結構な量ですね」 ヴォッフェバニーのウィンが、PCの目の前に座りながら言った。その隣、微妙な距離を置いてアーンヴァル型のロンが座っている。二人とも、PCから伸びるケーブルが背中のコネクタに刺さっていた。 気弱そうな表情を浮かべるウィンに対し、ロンは全くの無表情であった。ロンの無表情はそれなりの時間を経験してきた神姫にしては、没個性とも見える。 「問題ありません」 そのロンが短く答えた。人の声と全く同じそれは、酷く無機質で機械的な音を含んでいる。 茜はロンのいつも通りの声に満足そうな笑みをその口に浮かべた。もちろん、神楽に抱き付いたままである。 茜は神楽の首に回していた両手の内、右手を伸ばすとマウスを神楽の手ごと握った。茜は恐らく、からかい半分で頬を擦り寄せたりしているのだろうが、神楽の方は気が気では無かった。 昔から本を友としていた神楽は、人と触れ合うのが苦手だ。例えそれが同性であっても、こういう時は赤面してしまうのが神楽という少女の性分なのだ。 「じゃあ、頑張ってね二人とも」 茜がそう言うのと同時、かちり、と音がした。マウスの音である。 直後、ウィンとロンが軽い呻き声を上げた。PCから伸びるケーブルから大量のデータを送り込まれた余波だ。 武装神姫は高性能のロボットである。その小さな身体には人間と同等の精神活動を可能とする演算回路が内蔵されている。神姫の脳と言えるだろう。 それは同時に、超高度な計算回路でもある。並のPCを遙かに凌駕するスペックを誇る神姫は演算装置としての面をも併せ持つのだ。 「……主要空港を使用した形跡は……ありません」 「地方空港の検索を開始します」 その処理能力を以てして解析しているのは、空路を用いた出国記録だ。過去半年分の出国記録ともなれば数は尋常では無い。神姫の力を借りなければならない程に。 茜と神楽は、探していた。 膨大な出国記録の中に、たった一人の人間の名を探していた。 その人間とは、茜にとっては先輩であり、神楽にとっては隣人であった。 「っ……?」 不意に、ロンが呻いた。無表情だった顔に、確かな苦痛の色が浮かんでいる。 それは想定外の出来事であった。 想定外ではあるが、予想外では無かった。 「ウィルスね……性質の悪いのじゃなければ良いけど。ウィンは平気?」 「はい……今のところは問題ありません」 僅かな緊張を孕むウィンに対し、茜は何時も通りの口調であった。そして、落ち着き払った様子で、神楽の背中越しにキーボードを叩き始めた。 「ウィンは解析を続行。何か問題が生じた場合は即時報告を」 「了解です」 コンピューターウィルスの脅威は、神姫に対しても驚異だ。そのウィルスが神姫を害するものでないとしても、それが神姫を害さないとは限らないからだ。 神姫の演算回路は高度にして複雑であり、繊細だ。何がどう作用してどの様な結果になるのか、全く分からない。 だから、PC用のウィルスにすら、気を配らねばならない。 だから、暗がりの中で神楽はこんなにも表情を固くしているのだ。 「……ふぅん」と、茜は対して面白くなさそうな声で言った。 「先輩?」 「ウィルスには違い無いけど、神姫にはそれほど悪さもしなさそうねぇ」 それを聞いて、神楽は僅かに安堵した。その顔をすぐ横で眺めながら、茜は続けた。 「これ、家電とかのリミッター取っ払って、熱暴走させるモノねぇ。最近見ないと思ったけど」 家電製品にも簡易的ながらコンピューターは積まれている。当然ながら、それらはコンセントに刺さっている。そのコンセントを通じ、感染するウィルスが存在する。 通常のウィルスの様に、PCに感染したウィルスは、PCのコンセントを通じ、電気配線を通じて家電製品に感染するのだ。 この手のウィルスは、暴露ウィルスの様な情報流出などはしない代わりに、家電製品の出力の上限を無くしたり、電源を切っても稼働させ続ける。 情報流出はプライバシーの問題はあっても、命に関わりは無い。だが、このウィルスは人命に関わる。 例えば、洗濯機。洗濯機には槽を回転させるモーターが積まれているが、ウィルスに感染するとこれが異常に稼働する。そうなれば最低でも故障するし、最悪なら発火し、火災に繋がる。 洗濯機だけではない。冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースター、テレビ……。このウィルスは身近にあるモノを凶器に変質させる、悪意の塊の様なウィルスなのだ。 「……ロンは、大丈夫なんでしょうか」 未だ顔をしかめ、苦痛に耐えるロンを見ながらウィンは言った。暗闇の中に浮かび上がるロンの表情はより一層、深刻に見える。 「そうねぇ……このウィルス、やたらと雑で質の悪いウィルスだから……と」 かたかたとキーボードを叩いてた茜の指が止まった。その直後、ロンの顔から苦痛が消え、元の無表情に戻っている。それを見たウィンも、ほっと胸を撫で下ろした。 「ロン、気分はどう?」 と、茜の問いにロンは 「……悪くないです」これまた無表情に答えた。 そして、ロンは作業を再開していた。 暗い部屋に、沈黙が降りた。 ぶぅん、とPCの音しか聞こえない。 後は、規則正しい茜の呼吸と、若干早い神楽の呼吸の音くらいだろうか。 微かな音のみが響く暗がりの中、時間だけが静かに過ぎ去っていた。 真っ暗い部屋に突如、光が射した。やや乱暴に開け放たれた扉の奥に見える蛍光灯の光である。 「……何してんの、あんたら」 教室の入り口には、少女が立っていた。 見るからに運動をやっていそうな、そういう雰囲気が漂う少女である。 ツリ目がちの目元も、短めの髪形もその印象に拍車をかけている。 彼女こそがこの部屋の影を払った張本人であるが、しかし彼女は呆れ顔だった。 「何って、ちゃんとアリカに頼まれたことやってるのよ?」 アリカの視線の先には、神楽と茜がいる。正しくは、神楽に抱き付いた茜が。 呆れ顔を向けられた茜は、さも当然と言わんばかりの顔をしている。抱き付かれた神楽は最初、びくりと身体を震わせて以来完璧に俯いてしまっている。その顔は完全に下を向いてしまっているので表情は見えない。しかし、耳が真っ赤になっていることからどんな表情かは予想がついた。 「ホントにあんた、見境無いわね」 神楽の泣きそうな顔を想像して、アリカは軽い溜息を吐いた。ついでに茜に対しても溜息を吐いた。思い起こしてみれば、今の神楽の様な事をされたのも一度や二度では無い。ましてや、それ以上の事もされた記憶がある。 だからと言って、別に嫉妬する訳でも無しに、アリカは明かりを付けた。神楽にとっては暗いままの方が良いかもしれないが、それはそれで困った事になりそうだ。 部屋は直ぐに明るくなった。大教室に所狭しとPCが並べられている。暗いままだったら足くらいぶつけていただろう。 全く、微塵の危なげもなくアリカは茜と神楽の元へと近づいた。手頃な椅子を引っ張り出すと、それに座った。普段座っている木製の固い椅子ではなく、キャスターと背もたれのついた柔らかい椅子だ。 「あんたは座んないの」 と、今でも神楽にひっ付いている茜に言った。言外に神楽から離れてやれ、という意味も含ませていたのだが、それはアリカにとっては墓穴だった。 「じゃあ、座るわ」 少しの間考える様に神楽に頬を擦り寄せていた茜は、あっさりと立ち上がった。ようやく茜から解放された神楽は随分ほっとしているようだ。アリカと神楽はこれが初対面ではあるが、神楽がどんな気分かは分った気がした。 「……ま、良いけどね」 そして茜はというと、アリカの膝の上に座っていた。椅子にではなく、アリカの膝の上に。椅子なら腐るほどあるし、それが嫌だとしても行儀が悪いが机の上でも良い。それなのに、アリカの膝の上を茜は選んだ。 アリカはなんかもう色々どうでも良くなったので、茜の脇を掴み一旦持ち上げると自分の負担のならない位置に座り直させて後ろから抱えてやった。別にこう言う事態は初めてじゃない。最初の内は怒りもしたが、暫くしたら怒る気も失せていた。それに、こうやって人の温もりを感じるというのも……悪くない。そう思えた。 多分、茜もそれを見越してアリカの膝の上に座ったのだろう。もしかすると、神楽に抱き付いていたのもそれを見越しての事だったかもしれない。 「で、どうだったの?」 「結論から言うと、見つからなかったわ。ね、神楽」 急に話を振られた神楽の意識は完全に飛んでいた。アリカがこれに慣れてると言っても、神楽にとっては刺激が強すぎたのだろう。 数秒、完全に停止していた神楽であったが、ようやく脳内で音声が処理されたのか真っ赤になった顔を俯けて、二人の姿を視界に入れない様にしながらゆっくりと喋りだした。 「……主要な空港と地方空港。過去半年分のデータを洗いましたが、該当するものはありませんでした。恐らく、海路を用いた物と思われます」 耳まで赤い神楽の、しかし発声だけはしっかりとした報告は、アリカにとってあまり良いものでは無かった。だが、落胆はしなかった。 心のどこかでそうなるだろうと考えていた。 諦めでは無い。 調べる前から諦めていたのでは、見つかる者も見つからなくなる。 アリカは感じていた。何かが違うと。 今の探し方では見つからない。何か他に正しい探し方があるのではないか? と。 だから、今までは一人で新聞を読みあさったり、インターネットを駆使して探したりもした。それで見つからないから、今こうして茜に頼っている。 「見つかったのはウィルスだぁけ……ちゃんちゃん」 「……ウィルスって、大丈夫だったの?」 おどけて流そうとした茜であったが、アリカは目敏く……いや、耳聡くそれに気付いた。 それもそうだろう。神姫にとってウィルスというのは百害でしか無い。アリカがそれに食いつくのも当然と言えた。 「マスターが直ぐに対応した。よって問題無いです」 ロンの無機質な返事。アリカはその無機質な瞳を数瞬眺めていた。そして「なら良いわ」と短く答えた。ロンは確かに感情の起伏は少ないし、無口な方だ。しかし、オーナーの茜とは違い必要な事はしっかりと端的に伝える神姫だ。アリカはそれを十分承知している。 「ウィンはどう?」 と、アリカはウィンに話しかけた。まさか自分に振られるとは思っていなかったウィンは、オーナーの神楽同様に完全に停止し、オーナーの神楽以上に思考がフリーズしていた。 そのウィンを少し不思議そうに眺めるアリカ。楽しそうに眺める茜。心配そうに見つめる神楽。見ていないロン。 その状況がウィンの思考回路に更なる熱を与え、ウィンはどうしようもなく固まっている。 何か言わなければ、何か喋らなければ。そう思うと余計に何も言えなくなる。 堂々めぐりの思考回路は疑似的な熱を帯び、そして正常な思考を諦める。それを感じ取った神楽が動く前に、ロンが動いていた。 「感染したのは私だけ。ウィンには無害」 ウィンの目を、ロンの無機質な目が見つめていた。その目は同意を促す目であった様に思えたので、ウィンは不格好ながらも首を縦に振った。 「オーナーに似て、引っ込み思案みたいね。加奈美の言う通りだわ」 そんなウィンを眩しそうにアリカは眺めている。その口元は確かに微笑んでいた。アリカに抱きかかえられている茜からはその表情は解らなかったが、想像は出来た。 「そういえばアリカ、トロンベは?」 アリカがこの部屋に入ってからずっと気になっていた事だ。いつもはアリカの肩か頭の上に居る筈のトロンベが今日に限ってはいなかった。茜の思いつく限り、アリカがトロンベを連れていない事は極稀であり、今のこの状況は珍しい様に思えたのだ。 「宗太とパーシの相手してるわ」 「トロンベ一人で?」 「うん」と、アリカは短く答えた。トロンベはこの高校の頂点に立つ神姫だ。茜はそれを十分に分っている。しかし、その強さはアリカがいて初めて発揮される強さであり、神姫単体では実力の半分も出せないのだ。 だから、茜にはそれがどういう状況か容易に理解出来た。 「……そんなにあれなのかしら?」 「超弱い」 身も蓋も無い言い方である。茜の口から思わず苦笑が漏れる程に。茜がオブラートに包んで言ったのに関わらず、アリカは端的に、そして痛烈な言い方をした。たぶん、宗太が聞いたら傷つくだろう。見れば神楽も珍しく困ったような顔をしていた。 そこで茜はある事に気付いた。 「……加奈美と知り合いなの?」 「この前アパートに行ったら偶然ね……そろそろ私は行くわ。陽光ちゃんにお礼言っとかなきゃ」 茜を膝の上から立たせながら、アリカは適当に応えた。それが茜にとっては至極残念であった。 そして、アリカも立ち上がってから、神楽を見ながら言った。 「そういえば自己紹介して無かったわね。私は水野 アリカ。よろしくね、神楽」 神楽は差し出された右手を不思議そうに眺めてから、ゆっくりと握手を交わした。すると、アリカは満面の笑みを浮かべると、ブンブンと腕を振ってから手を放した。神楽は突然の事態に目を丸くして腕をさすっている。その脇で、アリカはウィンの頭を撫でた。 「よろしくね、ウィン」 俯きながら何度か頷くのが精一杯のウィンをこれまた満足そうに見終えると、アリカは颯爽と教室を後にした。 「ありがとね」 扉を閉める寸前に、アリカはそう言った。 トップへ 進む? -